作成者:光武大地
プラボウォ大統領の公約の目玉である無償給食事業が1 月6 日に開始されました。今年2025 年末には1,500 万人まで規模を拡大する目標を掲げています。内訳は第一四半期(1~3月)で300万人超、第二四半期(4~6月)で600万人超、残りの四半期で900万人の増加(即ち、第三、第四半期で450万人ずつ増加)を目指すものと想定されます。最終的には2029 年までに 8,290 万人へ提供するビックプロジェクトになりますが、1年間に1,500万人の増加では公約の5年間で7,500万人と目標人数に足りていないのが実情です。
また、当初の一食あたりの予算は15,000ルピア程度(71兆ルピア)でしたが、予算の制限から10,000ルピア(45兆ルピア)に減額されています。公約通りに計画を進めるには毎年45 兆ルピアの追加予算が必要になることから前途多難なプロジェクトです。(日本の1食当たりの費用は給食費から算出すると約250円前後になります。)
<国家予算に組み入れられる無償給食事業の予算>
2025 年45兆ルピア
2026 年90兆ルピア
2027 年135兆ルピア
2028 年180兆ルピア
2029 年225兆ルピア
上記、予算には物価上昇率や人件費上昇率などが考慮されていないことから実際に必要となる予算はこの数字よりも増える可能性があると思われます。
主食となるお米の金額(政府購入金額:HPP)は1kg当たり6,500ルピアであることから茶碗一杯当たり(1合=2杯)に使用するお米は約500ルピアになります。また、主菜である鶏肉は1kg当たり平均38,500ルピアであり、一食で使用する重量は100g前後と想定すると3,850ルピアになります。その他、野菜や果物の副菜等で構成される一食当たりの材料費は予算10,000ルピアの60%前後で構成されていると考えられます。
国家予算の歳入の内、国内調達金額の増加は200~300兆ルピア(前年対比108~110%)になりますが、その増加分の 15~20%を無償給食費の財源に使用することから、長く維持できる公共サービスになるにはここ数年間の経済成長率の維持程度では足りないと感じる次第です。